地域金融機関と協力し、スポンサー企業に事業譲渡することで温泉旅館の灯を消すことなく事業を継続
●形 態 事業譲渡+不動産譲渡+破産
●業 種 温泉旅館
●年 商 3億円
●借 入 金 3億円
●地 域 甲信越
実施前の状況
- 団体客から個人・グループにシフトができず、業績不振により営業赤字
- 取引先に対する買掛金の未払い、従業員に対する給与未払い、固定資産税、消費税等の租税を滞納し、破たん寸前
- 温泉旅館は顧客の嗜好の変化に合わせて定期的にリニューアルが必要であるが、工事資金が調達できないため、業績向上も見込めず
- 旅館を存続させるには、上記債務を一旦整理し、スポンサーの支援のもと再建を図るしか選択肢がなかった
M&A概要
- 自力での再建は不可能なため、スポンサーに旅館を事業譲渡し、スポンサーのもとで再生を推進
- 所有と運営を分離し、旅館事業は事業譲渡、不動産事業は不動産売買でスポンサーの設立した受皿会社に移管
- スポンサーから運営ノウハウ、リニューアル資金の支援を受け、新会社で業績を改善
- 経営陣は取締役は退任したが、新会社の従業員として従来通り旅館の運営に携わる
- 旧会社は破産の申立をし、旧来の債務を清算
M&A実行のポイント
- 旅館の灯を消すことなく、雇用も継続させ、地域の産業を維持したいという金融機関の強い思いとスポンサー会社の協力関係を構築できたこと
担当者からのコメント
再生型M&Aでした。単純な旅館の事業譲渡ではなく、温泉権の承継、旅館業許可の対応、事業譲渡後の会社清算費用の捻出、経営陣の消費者金融等からの借入金の処理、連帯保証人の対応、従業員の賃金未払い、租税滞納、買掛金未払い、親戚からの借入など様々な問題が山積した案件でありました。
クロージングできたことは、スポンサーを始め、債権者の方々の再生に向けた思いが一つになったからだと思います。旅館の灯を消すことなく、多くの従業員の雇用も確保されました。